カテゴリ: 思い出

以前、お身体を見させていただいた方に、施術所に倒れこんできた方がいました。

その方のお身体は、なんといいますか、体は大きいのに、とっても弱っている体をしておりまして、私が一番最初にその方を施術させていただいたときには、腕は痛いわ、手は痺れるは、腰が痛くて、足が痺れて、痛みが強くて寝られないし、仕事中は気力で体をもたせたり、痛み止めで騙しながら仕事していたと言っていました。

なんというか、もう体の骨格や筋肉だけじゃなく、回復するために必要な内臓の働き、自律神経の働きも思うように言っていないため、自力で治せる状態からかけ離れていました。

それでも、頼ってもらったからにはと、全力でお身体を見させていただきました。

その方も、病院の薬でその場がしのげているうちは、鍼や灸という意識はなかったようですが、薬が効かなくなったと感じて、病院を変え、薬を変え、と一向に身体が回復しないといえことに危機感を覚えたようで、最後は鍼か、というような心境だったようです。

大概、鍼は選択肢に登らないことが多いものだと認識しているのですが、個人的には最初に鍼に来て欲しい、そのために大抵体の状態は皆さんすこぶる悪い。じっとしていても痛みがあるわけです。辛いですよね。でもそれは、体が正しく働いていない証拠。

だってそうでしょう、薬が効かない体って想像できますか?

私の中では、薬が効かないというのは、相当悪い体と認識しています。

どんどん強い薬を使っている方は、わかっていただけると思います。

今まで効いてたのが、効かないわけです。

それに伴って、身体が弱っているのが体感できるわけです。

今まで、1錠。

今日から2錠。

次は・・・。

薬が飲みたい、体にいいなんて思っている方はいないと思います。

でも、仕事をするために、趣味をするために、身体が辛いからと、最初に受ける治療は、やっぱり薬なんです。

辛さが取れると、薬が効いた。よかった、治ったって思うのかもしれませんが、それは間違い。

薬は、いっとき。

その間に身体が治せるか、自分の体を直す力があるかどうかがもっとも重要。

なければ、薬は増えるし、強い薬に変わる。

それでも良くならなければ、別の病院を紹介され、検査、薬、検査薬の繰り返し。

結局、体は弱り、さらにいろんな症状が出る。

冒頭の方は、そんな状態の人でした。

よくよく話を聞くと、仕事は掛け持ち、家では2人の面倒を見なきゃいけない、夜は畳の上で倒れるように寝落ちする。

然も、食べ物は、体を冷やすものなど、負担になるものばかり。

それじゃあ、体は良くなるどころじゃないよねとお互いに確認し、施術を行ったわけです。

基本的に、人の体が1回の施術で治ることはないと思ってますので、最初から繰り返し施術が必要で、週2回施術をしますよと了解を取り、鍼をしたわけです。

一箇所鍼をして、寝返りをして施術を続けようとしたときに、その方は、あれ?動けるっておっしゃいました。

施術が終わると、いつも通りに歩けるから喜ばれていましたが、私としては、あまり喜ばしくはなかったわけです。

もちろん歩けたのは良いことだし、患者様に喜んでもらえたのは嬉しい。

けど、1回の施術で体が劇的に変わるということは、それだけその患者様の体は、危ういバランスの上にいるということだからです。

例えば、両足で立っている人に人差し指でつついても、バランスを崩すことは考えにくいですが、片足立ちの人をつつくと、大抵バランスを崩すわけです。

その患者さんは、片足どころか、もうすでに倒れかかっているような体の人なわけです。

そんな人が、一回の施術で、健康な人と同じようになるなんておかしな話なわけです。

だから、そんな状態はもし今良くても、必ず長続きしない。と伝えて、その日は終わりました。

予定通りの次回施術の時に、案の定、また倒れこんできました。

話を聞くと、体は動くようになったから、いつも通り仕事したとのことで、やはり元に戻ったわけです。

その時に、強く思ったことが、治療というのは、症状を取ることではない、症状が出なくなる体の状態に導くことだと。

あくまで、体を治すのは患者さん。

患者さんの体自身で、治すことが症状を繰り返さないことにつながると強く思いました。

私にできることは、辛い症状、それも病名診断を受けてもおかしくないような体の方に、薬ではなく、自分の体の力を引き出せるようになってもらう手伝いなのだと。

私は黒子。

スポットライトが当たるのは、患者さん。

だから、私は常に施術という舞台を終わらせるために、患者さんを導く必要があるわけです。

その舞台が終われば、患者さんは舞台に上がる必要がなくなるように。

そのために、患者さんに寄り添います。

施術で。

生活、食事、睡眠、運動の導き手として。

つくづく鍼灸は、薬や他の治療をしても体が思うようにいかなくなった方に、最適で、受けてもらいたい施術だなぁと思います。

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新潟の長岡市から京都の山の中に行ったのは、今からおよそ19年前。

当時、鍼灸の大学は、日本で唯一、京都にしかなかった。

運良く、入試を突破し、進学することを決めました。

京都での生活は、ほぼ学業のみ。

山の中にある大学で、京都市内に出るのも1時間半くらいかかるから、そう頻繁に行けないし、車もなかったので、学校と下宿の行き来が生活のほとんど。

当大学は、東洋医学と西洋医学の融合を掲げた大学で、針や灸に関わる東洋医学のみならず、附属病院の医師より西洋医学、現代医学を学びました。

どちらも膨大な知識であり、覚えることが大変だったことを思い出します。

新潟から当大学までは、およそ600キロくらい。

基本的に夜行列車の乗って、京都へ。

それから山陰線に乗り換え、1時間半。

全行程で7時間ほどの移動でした。

最初のうちは、寝台列車に乗っていましたが、そのうち一般列車で、隣座席の人と膝をぶつけ合いながら、京都と新潟を行き来しました。

日付が変わる頃、東三条駅から出発。

明け方、京都に着く。

途中、富山、石川を過ぎ所々で停車する駅で、体を伸ばしまた座る。

京都は遠いなーと。

京都は、雪が多かったです。

特に日本海側に近づくにつれ雪深い。

大学の周りも、雪が良く降りました。

しかもすごく寒い。

下宿の部屋は、4畳半の畳。

隙間風が入るような土壁の建物で、場合によっては、雪が入る。

共同下宿だったので、寒い時などは、台所でみんな集まり、食事をしたりしてあったまっていた。

大学までは、徒歩5分。

途中の駐車場は一面新雪のゲレンデになる。

そこで、友人と雪合戦をしたり、雪だるまを作った。

それなりに体が大きくなって、初めて雪だるまを本気でつくったけど、180センチを超える雪だるまになった。

道路にそれを置いて、帰って、後日話題になっていた。

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